仏花といえば「菊」というイメージがありますが、実際には様々な花が飾られています。
では、どのような花が仏花として選ばれているのでしょうか。
仏花の定番
必ずしも、この花でなくてはいけないという事はありません。
ただ、落ち着いた色合いで長くお供えできる種類が仏花として向いていると言えます。
仏花の定番5種類を紹介いたします。
色や花姿の種類も多く長持ちする花です。菊は人の心を落ち着かせるような香りがあります。
菊の香りは樟脳(クスノキの精油の主成分)「カンファー」や、墨をすったときに感じられる香り「ボルネオール」という特徴的な成分によって構成されています。
菊が仏花として使われるのは、菊とお線香の香りが良く合うからでないかという説もあるようです。
「無垢で深い愛」という花言葉があり、亡くなった方への敬愛を表現できる花です。
母の日というイメージがありますが、母の日にカーネーションを贈る由来となった出来事が「白いカーネーションを亡き母に捧げたから」なのです。
そのため、カーネーションは元々お供えの花に適していると言えます。
美しく上品で、そして優しげな花姿は、大切な方を亡くした人の心を癒してくれます。
夏でも他の花に比べて長持ちしやすいため、菊に次いで仏花としての人気が高い花です。
ユリは豪華さ・ボリュームもあり、日持ちも良い花です。
白いユリは西洋においては、聖母マリアを象徴する花とされています。
そのため、キリスト教式の葬儀等ではかかせない花でもあります。
もちろん仏式でもよく使用される花の一つでもあります。
高貴で品格の高い花姿は、故人への尊敬の気持ちを代弁してくれそうですね。
花粉で周りを汚してしまうこともあるので、咲き始めたら早めに花粉を取り除くと良いです。
ふわふわとした幾重もの花びらが美しく、色合いも豊富であることからお供えシーンで最近よく使用されます。
仏花においては、メインの花材(菊やユリ等)に添えて使われることが多い花です。
8月~9月頃が旬のため、お盆やお彼岸に適している花でもあります。
花言葉は「変わらぬ心」「途絶えない記憶」です。
海外では永遠の花とも言われており、世界中で人気のある花の一つです。とても日持ちの良い花のため、美しい花姿を長く飾ることのできます。
仏花に向かない花とは
バラやアザミなどは、トゲが殺生を連想させるために仏花に適していないとされています。
ユリは、仏花として定番である一方、香りが強いことを理由に避ける方もいます。
彼岸花やチューリップ等の毒がある花は、仏に毒を供えていることになるため適していません。
ツル状のものは「自立しない」という印象や、からみつくツルは「成仏できない」といった印象を与えるためと言われています。
椿などの花自体が落ちるのは「首が落ちる」という良くないイメージを連想させることから避けられています。
<上記の花を故人が好きだった場合>
「生前、バラがとても好きだった」等、故人が好きな花の場合もあります。
その場合、一番大切なのは故人を思う気持ちですので供えていただいて良いと思います。
例えばトゲのある花を供えたい場合は、トゲを取り除いてからお供えする等の工夫をしてみてはいかがでしょうか。亡くなった方も、自分の好きな花を供えてくれたらその心遣いにとても喜んでくれるのではないでしょうか。
造花を供えるのは不適切か?
生花を供えるという仏教の考えがありますので、基本的には生花が望ましいとされています。
しかし、生花を頻繁に買いかえることが難しい場合もありますので、その際は「大切なのは供えようとする気持ち」だと思いますので、何も供えずにいるよりは、造花でも供えていただくのが良いと思います。
最近ですと、造花だけではなくお供え用のプリザーブドフラワーが販売されていますので、お好みのものを供えることができます。
花の色合いにも気を付ける
一般的には、亡くなったばかりの場合は白い花だけ(白あがり)のお供え花が無難だと言われています。
地域によるところもありますが、福島では白い花をメインとし、やや華やかに色のある花を入れることが一般的です。
その後は、四十九日が過ぎる頃から徐々に色合いのある花を増やすようにします。
まとめ
お供えにふさわしい花とは…
(1)日持ちが良い
(2)香りが強すぎない
(3)派手すぎない色合い
(4)亡くなってからのどのくらい時間が経っているか考慮する(白基調とするか)
(5)お供えに適していない花を避ける(故人が好きだった場合はOK)
悩む場合は地域の生花店に相談して決めるようにしましょう。